かちえびについて

かちえびに使用している海老の種類は何ですか。

3~4種類ほどの海老が加工対象となりますが、主にはアカエビとキジエビです。 アカエビは正式な学名をキシエビと言います。もう1種類は、キシエビより大きく模様のあるエビで、漁業関係者の間ではキジエビと呼ぶのですが、ややこしいことにこのキジエビの学名がアカエビなんですね。 ちなみに我社の「別府湾かちえび」の海老は、アカエビ(キシエビ)が一番大きく育った状態のものと、キジエビ(アカエビ)です。それとこの辺では本アカと呼ばれているエビがあって、大きく育ったキシエビよりさらに大きなエビなんですが、これが「かちえび」に最適なんですね。

かちえびはいつから製造されていますか?また苦労された点などありますか?

製造を始めて35年ほど経ちます。昔は造るのに大変時間がかかっていました。朝に海老が獲れてから、ボイルして乾燥機に入れるころには夕方になっていました。日中に乾ききらないものですから、乾燥にむらが出ないようにかき混ぜて再度乾燥させるんですね。なので皮をむくまでに2~3日かかっていました。製造時期が真夏の暑い時期なので、乾燥機に長い時間海老を残留させるのは海老に良くないんですね。

しかし今では朝に海老が水揚げされてから、その日の午後2時頃には全作業工程が完了できるようになっています。これはいりこ製造で培った技術と設備を応用することで可能となりました。このスピーディーな製造は他社にはない高橋水産ならではの特長と言えます。そして作業効率の向上に伴い、昔と比べて格段に美味しいかちえびができるようになりました。焼きえびにもこの技術は活かされています。

かちえびに使う大きさの海老が獲れる時期が1ヵ月ほどしかなく、この時期が真夏の暑い時期と重なり、外気温30度以上の環境下で作業するので、鮮度が落ち易いんです。海老の鮮度が落ちないうちに速やかに製造することを心がけています。ちなみに乾燥機の温度が80℃もあって現場は暑くて大変なんですね。

かちえびは食品添加物を使用していませんが、絶妙な塩加減で美味しいですね。何か特別な秘結があるんですか?

そうですね、水道水でエビをボイルする時に塩を入れるのですが、海水よりも少し甘めの塩分濃度にしています。ボイルする時に蒸気と一緒に塩分が抜けるので、こまめに味見しながら塩分調整をしています。

どうして“かちえび”と呼ばれているのですか?

かちえびはそもそも他の乾物同様に獲れた海老を保存するために生まれました。昔は砂浜にむしろを敷いてその上に海老を干していました。その当時、乾いた海老を棒で叩いて皮を剥いていました。昔はこの叩くという言葉を“かつ”と言っていたそうで、これが“かちえび”と呼ばれる所以です。かちえび発祥の地の広島では「叩きえび」と呼ばれています。 今では人の手で叩く代わりに機械がやってくれます。近年高橋水産ではこの機械を特別発注して開発しました。これで生産効率を6倍にすることができました。